診断名は、こころの状態を整理するための言葉ですが、
違う診断名の裏にも、共通した心の動きや背景が見られることがあります。
感情を抑えたり、心のエネルギーが滞ったりすることで、
それぞれの症状としてあらわれることがあるのです。
このページでは、そのようなこころのプロセスに触れながら、いくつかの状態を紹介しています。
適応障害
職場や家庭など、環境の変化やストレスをきっかけに、気分の落ち込みや不安、集中力の低下などが起こります。
「自分が悪い」と感じて無理をしてしまう方も少なくありません。
出来事への反応だけでなく、過去のつらい体験が心の奥で重なっていることもあります。
うつ病
気分の落ち込みや意欲の低下が続き、何をしても楽しく感じられなくなる状態です。
眠れない、食欲がない、頭が働かないなど、身体の変化を伴うこともあります。
頑張りすぎや感情の抑圧が背景にあることも多く、回復には心身の休息が大切です。
気分変調症
軽いうつ状態が何年も続き、気分の晴れない日が慢性的に続く状態です。
「自分はこういう性格だから」と感じて受け入れてしまうこともありますが、治療によって改善が見込めます。
内面的な疲れや自己否定感が根底にあることもあります。
双極性障害
気分の波が大きく、落ち込む時期とうつとは違う高ぶりの時期があらわれます。
高ぶっている時には活動的になりすぎたり、睡眠が減っても平気に感じたりします。
「本当の自分を受け入れたいのにできない」という苦しさが根底にあることも。
その後、エネルギーが切れたように落ち込み、深い自己否定の感覚にとらわれる――そんな心の揺れのサイクルが、症状として現れているのかもしれません。
パニック障害
突然、息苦しさや動悸、強い不安に襲われることがあります。
発作が起こることへの恐怖から、外出や人混みを避けるようになることもあります。
「自分の体や心が壊れてしまうのでは」と感じるほどの恐怖の裏に、積み重なった緊張が潜んでいます。
社交不安障害(SAD)
人前で話すときや他人の視線を感じる場面で、強い不安がこみあげてくることがあります。
「失敗したらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」という思いが、自分らしさを抑え込んでしまうことも。
安心できる関係の中で、怖さの奥にある自分の気持ちに少しずつ触れていくことが、回復の手がかりになります。
全般性不安障害(GAD)
はっきりした理由がないのに、仕事や健康、人間関係など、さまざまなことが頭から離れず、心配が止まらなくなる状態です。
「何か悪いことが起こるかもしれない」と感じ、落ち着かない日々が続くこともあります。
心と体がいつも緊張している状態を少しずつゆるめ、安心を取り戻していくことが大切です。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
過去の事故や暴力、災害などの体験が、今も心の中で生々しく続いている状態です。
思い出すたびに強い恐怖や緊張がよみがえり、避けたいのに避けきれない苦しさを伴います。
「過去の出来事なのに、まだ終わっていない」――そんな感覚を少しずつ扱っていくことが、回復の始まりです。
複雑性心的外傷後ストレス障害(CPTSD)
長い間、安心できない環境にさらされることで、心が深く傷ついた状態です。
幼少期から続く「発達性トラウマ」や「愛着障害」が背景にあることもあります。
人との関係の中で、強い自己否定や孤独感にとらわれることも少なくありません。
「傷ついたまま生き延びてきた自分」を理解し、再び安全を感じられるようにしていくことが、回復の道となります。
解離性障害
強いストレスやトラウマの中で、心の一部が現実から切り離されてしまうことがあります。
記憶が抜け落ちたり、自分の感覚が遠く感じられたりします。
それは心が「生き延びるため」に選んだ工夫であり、そこに優しく気づいていくことが回復への第一歩です。
強迫性障害(OCD)
「手を洗わないと落ち着かない」「確認を繰り返してしまう」など、頭ではわかっていても止められない行動が続きます。
不安を抑えようとするほど、心がその不安に縛られていくことも。
安心を少しずつ取り戻しながら、心の自由を回復していくことを目指します。
注意欠如・多動症(ADHD)
集中が続かない、忘れやすい、衝動的に動いてしまう――そんな特性をもつ状態です。
努力してもうまくいかない経験が重なり、自己否定感や「人との関わりでうまくいかない」という思いを抱えることもあります。
その背景に、幼少期からの「発達性トラウマ」や繰り返された否定的な体験が関わっていることもあります。
自分の特性を理解し、安心できる環境の中で、自分らしい力を発揮していくことが大切です。
自閉スペクトラム症(ASD)
人との距離のとり方や感情の読み取りが難しく、こだわりが強く変化に戸惑いやすい傾向があります。
幼少期から周囲とのずれを感じやすく、安心できるつながりを築くことに苦労してきた人も多いでしょう。
その過程で、「発達性トラウマ」や「愛着の不安定さ」が影響している場合もあります。
「理解されない自分」ではなく、「自分らしく生きる方法」を一緒に探していくことが大切です。
起立性調節障害
朝起きづらい、立ち上がると気分が悪くなる、倦怠感が続く――そんな症状が見られます。
思春期に多く、身体の調整力と心のストレスが影響し合って起こります。
心身のリズムを整えながら、少しずつ日常のペースを取り戻していきます。
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや緊張が腸の働きに影響し、腹痛や下痢・便秘が繰り返されます。
「体の問題」と思われがちですが、こころの疲れが関係していることも。
心と体のつながりを理解しながら、安心して過ごせるリズムをつくっていきます。
身体表現性障害
検査では異常がないのに、痛みやだるさが続く状態です。
心が感じているストレスや悲しみが、体の症状としてあらわれることがあります。
「気のせい」ではなく、「こころの声が体を通して表れている」と考え、両面から整えていきます。
更年期障害
ホルモンの変化によって、気分の揺れやイライラ、疲れや不眠などが起こります。
身体の変化と心の揺らぎが重なる時期でもあります。
自分のリズムを理解しながら、穏やかに過ごせるようサポートしていきます。
統合失調症
20代で発症することが多く、幻覚(幻聴・幻視)や妄想などの症状が現れます。
強いストレスや不安が引き金となり、現実との境界が揺らぐように感じられることもあります。
人との関わりが怖くなり、社会から距離をとってしまうこともあるでしょう。
抗精神病薬による治療を基盤としながら、安心できる関係を通して、自分の世界を再び信じられるようにしていきます。
統合失調感情障害
統合失調症の症状に加えて、うつや躁の気分の波が重なる状態です。
現実感の揺らぎと感情の不安定さが重なり、心が大きく消耗します。
心の波を理解しながら、現実とのつながりを少しずつ取り戻していきます。
妄想性障害
現実とは異なる確信が強く続き、「誰かに狙われている」「(パートナーに)浮気されている」といった思い込みに苦しみを抱えることがあります。
本人にとっては非常に現実的で切実な体験です。
安心を壊さない関わりの中で、現実とのつながりを少しずつ取り戻していきます。
