MENTAL ILLNESS

こころの病気について

こころの病気には、うつ病や不安障害、発達障害など、いろいろな名前(診断)がありますが、多くは “自分の気持ちを抑えてきたこと” と深く関わっているように感じています。

とくに、安心して甘えたり、本音を出したりできなかった経験が、心に深い影響を残していることは少なくありません。
それは「複雑性心的外傷後ストレス障害(CPTSD)」と呼ばれることもありますが、私たちは、「どうしてこんなに苦しいのか」という問いに、一緒に向き合うことを大切にしています。

感情を抑えてきたとき、こころはどうなるか

感情を抑え込んで過ごすことが習慣になっていると、自分が本当は何を感じているのか分からなくなっていくことがあります。
そうした心の状態が続くと、気力の低下や気分の落ち込みとして現れたり、頑張りすぎたり、怒りや衝動性のかたちであふれ出してくることもあります。

  • 自己否定感
  • 過剰な責任感
  • 怒りをためやすい
  • 感情を出すことへのためらい

など

たとえば適応障害では、現在の職場の上司やパートナーの態度に、過去に親から受けた厳しさや拒絶の感覚を“心の中で重ねている”ことがあります。

双極性障害では、もともと自己肯定感が低く、本当の自分を受け入れられないという苦しさが背景にある場合もあります。
自分を“上げよう”とする気持ちが無理に働くと、テンションが高まりすぎたり、過活動になったりすることが見られます。
その後、エネルギーが切れたように落ち込み、さらに深く自己否定の感覚にとらわれる――そんなこころの揺れのサイクルが、症状として現れているのかもしれません。

安心できないまま過ごしてきたとき

ずっと気を張っていたり、まわりの顔色をうかがいながら過ごしてきたりすると、心が安心という感覚をうまく思い出せなくなることがあります。
そうした状態では、日常の小さな出来事にもびくっと反応してしまったり、人との距離感がつかみにくくなったりすることもあります。

  • 緊張しやすい
  • 拒絶されることへの敏感さ
  • 人の顔色を読むクセ
  • 「自分なんて…」という思い

など

パニック障害やSAD(社交不安障害)、GAD(全般性不安障害)などでは、「もし急に倒れたらどうしよう」「発作が起きたら困る」などの思考が繰り返され、それに伴う身体感覚に強く意識が向いてしまうことがあります。
その背景には「何かあっても誰も助けてくれないのではないか」という根深い不安や、「ちゃんとしていなければ」という思いが、幼い頃から積み重なっていることもあります。

CPTSDや解離性障害といった診断は、安心できる体験が十分に得られないまま強いストレス状況に置かれ続けてきたこころの反応として見られます。
過去に受けたつらさを、頭では「もう終わったこと」として処理しているつもりでも、身体感覚や自分を責めるような感情として、今もなお影響が残っていることも少なくありません。

「がんばりすぎること」が当たり前になっているとき

何か特別なことをしたかったわけではなく、ただ「普通にふるまおう」「迷惑をかけないようにしよう」としていただけなのに、いつのまにか無理が重なりこころがすり減っていることに気づけなくなることがあります。
そんなふうに「がんばりすぎること」が当たり前になっているときがあります。
その背景には「そのままの自分ではだめかもしれない」という感覚が根づいていることもあります。

  • 自分は足りていないという感覚
  • 失敗することへの強い不安
  • もっとやれるはずだという思い
  • 「迷惑をかけてはいけない」という思い込み

など

ADHDやASDといった発達障害と診断される方のなかには、本来の特性そのものよりも、それによって怒られたり否定されたり誤解された経験が、こころに大きな影響を与えている場合があります。
とくに「もっとちゃんとしなさい」「なんでできないの」と言われ続けることで、「自分は人より劣っている」「どうせうまくいかない」といった感覚が、内側に染みついてしまっていることもあります。

現在では、発達障害と診断されるような”困りごと”の背景に、CPTSDや発達性トラウマといった、幼いころに安心できない環境のなかで育った経験が関わっている可能性があるとも言われています。
発達性トラウマは、診断名ではなく発達の過程に影響を与えるこころの傷つきに目を向けた考え方です。

また、身体症状としてこころのつらさが現れる身体表現性障害も、「まわりに迷惑をかけたくない」「ちゃんとふるまわなきゃ」と、自分のしんどさを抑えてきた結果として、こころが出せなかった苦しみをからだが代わりに表現しているという見方もできます。

更年期のこころの不調はホルモンの変化だけでなく、人生のさまざまな人間関係が重なり合う時期に生じるこころの揺らぎとしても捉えられます。
仕事や地域の役割、親の介護や死別、子どもの進路や独立など、上の世代とも下の世代とも関わるなかで「自分がどうあるべきか」がわからなくなることも少なくありません。
こうした複雑な関係性のなかで自分の感情を後回しにしてきた結果、こころやからだにそのしんどさが表れてくる——更年期は、そうした負担が一気に表に出やすい時期でもあるのです。

自分と世界の境目が揺らぐとき

「自分が自分でないような感覚」や、「まわりの世界がどこか現実でないような感じ」など、これまで保たれていたこころの輪郭が曖昧になってしまうときがあります。
それは、あまりにもつらい状況に置かれ続けた結果、こころが自分を守ろうとした反応かもしれません。
現実との距離感がつかみにくくなることも、苦しさのあらわれ方のひとつです。

  • 孤立感や、見捨てられることへの強い怖さ
  • 自分の存在がよくわからない感覚
  • 理解されないことへの絶望
  • 感情や思考がうまくつながらない感じ

など

統合失調症の症状には幻聴や妄想といった特徴があるとされていますが、その背景にあるのは「ひとりぼっちで理解されない苦しさ」や、「自分の感じていることが否定されつづけた経験」であることもあります。

まわりとのつながりを感じにくい、または「自分がここにいていい」という感覚が持てない状態が続くと、こころは“現実そのもの”との距離をとるような働きをすることがあります。
それは決して“壊れた”のではなく、むしろ壊れないために、こころが選んだ精一杯のバランスかもしれません。

解離性障害について

解離性障害も、現実感が揺らぐという点では近い状態に見えることがありますが、その背景にある“安心の欠如”や“トラウマ記憶”との関係性を重視し、前のセクション(安心できないまま過ごしてきたとき)に含めています。

理由はわからないけど つらいとき

何が原因なのか自分でもよくわからないけれど、とにかくつらい。
「考えすぎかもしれない」「気のせいじゃないかな」—— そんなふうに人に言われたり自分で思ったりしても、気持ちの重さはなくならない。

理由が見つからないことでまわりにも理解されず、「自分のこころが弱いだけなんじゃないか」と責めてしまうこともあるかもしれません。

けれど本当は「理由がわからない」のではなく、つらさの背景にあるものがまだ言葉になっていないだけかもしれません。

  • 「自分だけが変なんじゃないか」という不安
  • どこにいても落ち着けない感覚
  • 誰にも頼れない、信じられない気持ち
  • なぜか涙が出るけど、自分でも理由がわからない

など

あなたが感じているつらさには、ちゃんとした理由や背景があるはずです。
それが、あなたの人生のなかで、どんな場所にあるのか。
私たちは、そのことを一緒にたどっていきたいと考えています。

「理由はわからないけどつらい」、そんな思いのままでも、もしよかったらその声を一度、私たちに聴かせてください。

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